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August 31, 2011 space
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風邪などウイルスを体の中で退治できる薬DRACOができるかも・・・

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風邪は厄介な病気だ。ウイルス性の感染症だが、原因ウイルスが特定されないからだ。インフルエンザであればワクチンや特効薬もあるが、それも全てのウイルスに有効であるわけではない。しかもウイルスは変異しやすく、薬剤耐性を得やすい面もある。従来は大抵の場合、解熱剤等の対症療法しか無かったわけだが、本物の風邪薬が発明されつつあるようだ。
 
DRACOと名付けられた新薬は、体内で長い二本鎖RNAを含む細胞、つまり確実にウイルスに感染している細胞を探す。そして、感染した細胞を見つけたら、その細胞に自己破壊命令を出す。
 

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 ペニシリンが発明されてから抗生物質耐性バクテリアとの戦いは未だに続いているが、DRACOが実用化されれば意外な事にウイルスとの決着の方が先についてしまう可能性がある。もちろんDRACOの開発が済んで、それから特許が切れるのは何十年も先の話だ。貧乏人はDRACOを使えない可能性は多々あるので、風邪やエイズなどのウイルスには重々注意して生活したい。
 
POPSCIが、リンカーン研究所の化学・生物・ナノテク・グループの科学者が、全てのウイルスに有効な薬剤を開発しつつあると報じている。ウイルスは、寄生対象(e.g. 人間)の正常細胞に長い二本鎖RNAを送り込み、細胞を乗っ取りウイルスを増殖させる。DRACOと名づけられた新薬には、ウイルスの二本鎖RNAを拘束するたんぱく質とウイルス感染細胞を死滅させるたんぱく質が含まれており、ウイルス感染した細胞を見つけると機能するように出来ている。DRACOは全てのウイルスに共通する二本鎖RNAをターゲットとするため、正常な細胞には影響が無く、ウイルスの突然変異で効果が落ちる事が無いそうだ。
 
人間や動物の細胞に感染するさまざまなタイプのウイルスを探し出して殺してしまう新しい薬が発表された。11種の哺乳類の15種類のウイルスを殺せるという。冬の鼻風邪の原因ウイルスから命に関わる病気を引き起こすウイルスまで、1つの薬で幅広いウイルスに対する効果が示されたのは初めてのことだ。
 
研究論文の共著者で、マサチューセッツ工科大学(MIT)リンカーン研究所および同大学比較医学部門に所属するシニアスタッフ科学者であるトッド・ライダー(Todd Rider)氏は次のように話す。「数十年前の抗生物質の発見と製造は、細菌感染の治療法に革命をもたらした。今回の発見が、同じように、ウイルス感染の治療法に革命をもたらすことを期待している。この治療薬は、風邪やインフルエンザのウイルスから、HIV、肝炎ウイルスなどのより深刻な病原体、さらにはエボラや天然痘などもっと致死率の高いウイルスまで、すべてをカバーする」。

◆打ち倒せないエイリアンのようなウイルス

 細菌感染に対しては数多くの治療薬があるが、ウイルスと戦える薬はほとんどない。これまで開発されてきた抗ウイルス薬は、1種類のウイルスだけを標的とする非常に限定的なものだ。しかしウイルスは簡単に変異し、その薬に対する耐性を獲得してしまう。そこでライダー氏らは別のアプローチを試みた。体内に自然に存在する防衛メカニズムを使って働く新薬を作り出したのだ。
 
ウイルスは、「いわば映画『エイリアン』に出てくるエイリアンのように」生きていると、ライダー氏は言う。「細胞に入り込み、細胞内部で自己複製し、ついには細胞を食い破って」殺してしまう。
 
ウイルスは細胞を乗っ取る際に、長い二本鎖RNAと呼ばれる複雑な核酸を作り出す。これがウイルスの化学的活動をコントロールする。人間の健康な細胞は、このような二本鎖RNAを作らない。
 
人間の身体には、これを利用してウイルスに対抗する防衛システムが備わっている。ウイルスの二本鎖RNAに嵌り込むタンパク質を作り、ウイルス自体が自己複製できないようにしてしまうのだ。ところが、多くのウイルスは進化して、こうしたタンパク質を無効にしてしまう。

◆2つの武器を組み合わせた新薬

 ライダー氏の研究チームは、体に自然に備わった防衛タンパク質と、細胞の自殺スイッチを入れる別のタンパク質とを組み合わせた薬を開発した。人間のすべての細胞にはこのような自殺スイッチが付いている。このスイッチは普通、細胞がガン化し始めたときに入るとライダー氏は説明する。
 
ペンシルバニア州にあるバックネル大学の分子ウイルス学者マリー・ピゾーノ(Marie Pizzorno)氏は、この薬を神話に出てくるケンタウロスにたとえる。「(ケンタウロスの下半身の)馬の部分にあたるのは、人間が通常作っているタンパク質の一部で、ウイルスが作る長い二本鎖RNAを認識する機能を持つ。(上半身の)人間の部分は、細胞死のプロセスを開始するものだ」。
 
DRACOと名付けられた新薬は、体内で長い二本鎖RNAを含む細胞、つまり確実にウイルスに感染している細胞を探す。そして、感染した細胞を見つけたら、その細胞に自己破壊命令を出す。
 
人間の体が自分からこの2種類のタンパク質を組み合わせることはないため、最も適応性の高いウイルスでも、薬として組み合わされたこのタンパク質の裏をかくことはできないだろうとピゾーノ氏は話す。ピゾーノ氏はこの研究には関与していない。
 
研究チームを率いたライダー氏によると、この薬は、体内で二本鎖RNAを見つけなかったときは最終的に消えてしまい、副作用は残らないという。

◆風邪の治療薬ができるのは10年先

 これまでのところ、この薬は人間を含む11種の哺乳類の細胞で、15種類のウイルスを殺すことができ、しかも毒性を示さないことが確認されている。15種類の中には、デング出血熱やH1N1型の豚インフルエンザを引き起こすウイルスが含まれる。致死量のH1N1ウイルスを注射したマウスは、この薬で100%治癒した。
 
現在ほかのウイルスを使ったマウスの実験が行われているが、さらに大型の動物で効果と安全性が確かめられたら、アメリカ食品医薬品局(FDA)が人間の臨床試験を承認するだろうとライダー氏は話す。それでも、「薬局でこの薬を買えるようになるまでには、少なくとも10年はかかる」という。
 
このようにまだ先は長いとはいえ、この新薬は有望だとバックネル大学のピゾーノ氏は話している。
 
新しい抗ウイルス薬についての論文は、7月27日に「PLoS ONE」誌のWebサイトに掲載された。

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