ノキア、PDAに参入/Ｌｉｎｕｘ採用 -通話機能は非搭載

　ノキアが通話機能非搭載の小型端末を本格的に販売するのは初めてで、縮小傾向にあるＰＤＡ市場は価格競争が激しいが、ノキアにとっては携帯電話機との部品共有化で生産コストを低く抑えられることもあり、新たな収益の柱に育てる方針で、通常の携帯電話よりも戦略的な価格設定で対抗する。

　
　ノキアが発表したネット対応PDA端末は「770・インターネットタブレット」は、Nokia 770は800×480のワイドディスプレイを搭載した薄型のポケットサイズ端末。ズームボタンとオンスクリーンキーボードを備え、無線LANや公衆ホットスポット経由、Bluetoothを使って対応の携帯電話経由でもインターネットに接続できる。
　
　
　家庭内などの無線ＬＡＮ（構内情報通信網）や携帯電話機を通じてネットへの接続や電子メールの送受信が可能。OSはLinuxベースの「Nokia Internet Tablet 2005」を搭載して、スケジュール管理、インターネットラジオ、RSSリーダー、イメージビュワー、メディア再生などのアプリケーションが組み込まれている。
　
　
　Nokia 770は今年7〜9月期に、アメリカ地域と欧州で、販売価格は競合製品と比べて10％以上も割安とされる350ドル（約3万8000円）に設定、欧米を主力市場として販売する。

□ Nokia、ネット接続端末「Nokia 770 Internet Tablet」
　
NokiaのLinux携帯端末は日本製オープンソース・メール・ソフト「Sylpheed」を搭載

　フィンランドNokiaが5月25日に発表したLinux携帯端末「Nokia 770 Internet Tablet」。携帯電話大手が無線LANインターネット端末に参入する戦略製品として注目を集めている。

　このNokia 770に日本人が開発したオープンソース・ソフトウエアが主要コンポーネントとして採用されている。山本博之氏が開発しているメール・クライアント・ソフト「Sylpheed」である。Nokia 770には，Sylpheedのエンジン部分が使用されている。

　Sylpheedは，山本博之氏が開発を続けてきたメール・クライアント・ソフトで，海外にも多くのユーザーを持つ。2004年12月にバージョン 1.0がリリースされた。山本氏は「Nokiaは多くのメール・ソフトを検討したようだが，Sylpheedが“軽い”ことが評価されたようだ」と話す。

　NokiaもSylpheedの開発に貢献している。バグを修正するパッチがNokiaからSylpheedコミュニティに提供され，Sylpheed本体に統合された。

　山本氏は現在，インテグレータのグッディに勤務している。グッディではSylpheedのカスタマイズなどの商用サービスも手がけている。グッディ 代表取締役 前田青也氏は「NokiaがSylpheedを利用すると同時に開発にも貢献する。オープンソース・ソフトウエアのビジネス利用における好例」と話している。