総合格闘技の山本ＫＩＤ、レスリング復帰し五輪目指す

　
　夢を追う！山本“ＫＩＤ”徳郁がレスリングで北京五輪挑戦
　
　格闘家として活躍する山本“ＫＩＤ”徳郁（２９）が２２日、都内で会見し、プロ総合格闘技を一時中断し、０８年北京五輪への挑戦を表明した。レスリング男子フリースタイル６０キロ級での金メダル奪取を目指し、１１月の全日本レスリング選手権予選会から競技活動に入る。シードで出場予定だったＨＥＲＯ'Ｓミドル級（７０キロ）トーナメント準々決勝（８・５有明）は欠場する。
　
　
　高額なファイトマネーを捨て、五輪への道を選択した。ＫＩＤは「ガキのころからの夢だったし、年齢的にもこれが最後のチャンス。今トライしなかったら一生後悔する」と７年ぶりのアマ復帰を宣言した。昨年大みそかに初代ＨＥＲＯ'Ｓミドル級王座を獲得するなどの人気ファイターとしての活動に背を向け、今月初旬から母校・山梨学院大レスリング部で１日２回の練習を始めている。
　
　
　７２年ミュンヘン五輪代表の父・郁栄氏にあこがれ、５歳でレスリングを始めた。姉・美憂さんも妹・聖子（ジャパンビバレッジ）も元世界女王。００年シドニー五輪を狙ったが、９９年全日本選手権で２位に終わり挫折。２４歳でプロ総合格闘家に転向したが、五輪出場は悲願だった。
　
　
　ＫＩＤが狙うフリー６０キロ級ではアテネ五輪で井上謙二（自衛隊）が銅メダルを獲得。代表争いはし烈だが、昨年の大幅なルール改正を追い風ととらえている。試合時間が３分×２ピリオド制から２分×３セット制になり、グラウンド中心の攻防からスタンド主体の戦いへと変貌。恩師の高田裕司・山梨学院大監督（日本協会専務理事）も「今のＫＩＤは日本のベスト８レベルだが、経験を積めばもっと伸びる」と期待を寄せる。
　
　
　「今はオレに有利なルールに変わったし、いけると思う」と強気な姿勢を示した。“神の子”はプロのファイトを休養して、幼いころからの夢を追う。