話題のナレッジベース | Knowledge Base Weblogs space
HOMEBlogs index Technology >> space
space space
space
space
space
space
September 29, 2008 space
   space
space

2050年のテクノロジーをIBMの研究者5人が予測

space

創造的な芸術、科学、技術の交点を模索するIBMと南カリフォルニア大学による共同プロジェクトの第1回のイベントで、IBMの5人の科学者が2050年には人間の生活がどのようになっているかという予測を披露した。
 
 このハリウッド映画のようなテーマに沿って、パネルの進行役であるBill Pulleyblank氏は、「Mini Cooper」の自動車はアポロ13号よりも多くの演算能力を持っていると指摘した。そして、アポロ13号は「もう少しでTom Hanksが死にかけた」宇宙カプセルであると1995年の同名の映画に言及した。
 
 Pulleyblank氏は、世界の最も強力なスーパーコンピュータの上位10台のうちの4台を数えるIBMの「Blue Gene」システムの開発を率いた。2050年までには、これらの巨大なスーパーコンピュータに搭載されている能力は、手のひらの大きさに収まるようになるだろうと同氏は予測する。
 

space

  

光合成の活用
 
 BMのグリーンリサーチイニシアチブを率いるSharon Nunes氏はIBMのComputational Biology Centerを立ち上げた経歴を持つ。Nunes氏は2050年までには、クリーンな水とエネルギーが地球全体で利用できるようになると予測する。
 
 Nunes氏は地球が直面している重大な問題を解決する方法として、合成生物学とシステム生物学に着目している。「われわれは自然と、40億年余の知識から学ぶ必要がある」とNunes氏は指摘した。

 
 Nunes氏は光合成の化学的、生物学的なプロセスの知識を応用して太陽電池を開発したり、藻を環境的にやさしい燃料に変換したりする事例を挙げた。「われわれは(こうした開発の)規模を拡大して、それらを手ごろなコストで利用できるようにする方法を学ばなければならない」(Nunes氏)
 
 生延長(ライフエクステンション)とパラレルヒューマンプロセッシング
 
 Don Eigler氏はIBMの科学者であり、1989年には自身が作った液体ヘリウム温度走査型トンネル顕微鏡を使い、少数のキセノン原子を取り出して「IBM」とつづることに成功した。Eigler氏の2050年の予測では、生延長に役立つ埋め込み技術とナノスケール技術に着目している。
 
 「今日の研究所では、再生医療に使用できる新しいナノメートル規模の構造物を組み立てる方法を発見しつつある」とEigler氏は述べた。 Eigler氏は、この技術は今後10〜15年で花開き、最終的には人体に薬局が内蔵され、内部センサの数値に基づいて自動的に薬品を投与するようになると考えている。
 
 Eigler氏はまた、パラレルヒューマンプロセッシングについても論じた。パラレルヒューマンプロセッシングとは、人間が意識して一度に2つの問題について考えられることを指す。この能力は訓練によって、または人間と共生する埋め込み機器によって実現できる。
 
 「この種の人間能力の増大によっていくつかの直接的な懸念が生じるが、われわれは生きていく上でこのようなトレンドを避けるわけにはいかないのである」とEigler氏は述べ、ペースメーカー、人工内耳、さらにはBluetooth対応骨伝導ヘッドセットを例に挙げた。「テクノロジを賢く使用するのはわれわれ個人の責任なのである。課題が生じるのは、われわれが社会として、どのような技術を非合法とし、またはどの技術をそのまま維持するかを決断するときである」(Eigler氏)
 
 Eigler氏はまた、2050年までには今日の最先端のコンピュータと比べて10万倍もの演算能力を持つノートPCが出現しているだろうと述べた。
 
 「そのようなノートPCで何をするのか」とEigler氏は聴衆に尋ね、そして自分の投げかけた問いに自分で答えた。「われわれはコンピュータの新しい使用方法を見つけるだろう。ただし、それがどのようなものか、現時点ではわたしには思いつかない」(Eigler氏)

 
 個人遺伝子情報と再生医療
 
 Ajay Royyuru氏はIBM のThomas J. Watson Research CenterにあるComputational Biology Centerの責任者であり、バイオインフォマティクス、機能的ゲノム学、システム生物学といったテーマを研究している。Royyuru氏は、2050年までに誰もが自分の遺伝子情報を持つようになるだろうと予測した。
 
 「われわれはゲノムから解読できるすべてのものを把握できるようになるだろうが、それでも病気の根本的な原因と格闘しなければならない点では変わりはないだろう」(Royyuru氏)
 
 人々は切れ目なく続く遺伝子データにアクセスすることになり、その情報を利用して、例えば、何を食べたらいいかを選択できるようになる。
 
 「われわれは『引き金』に触れないように自分自身に教えることができるようになる」とRoyyuru氏は述べる。「今日、われわれは人体という機械がどのようなしくみで動いているか知らない。ゲノムはパーツリストである。われわれは生命組織を再生できるようになり、それがどのように機能し、または機能しなくなるのかを理解できるようになる」。その結果得られるものは、個人のゲノムに基づき、パーソナライズされた、行動の予測モデルである。
 
 幹細胞と合成生物学(生物学的なコンポーネントの設計と製造)によって、臓器やその他の組織を切除してしまうのではなくて、病気になっている部分だけを治療することができるようになるとRoyyuru氏は予測する。

 
 集合的知性
 
 IBMのDistinguished Engineerの肩書きを持つJeff Jonas氏は、Entity Analytic Solutions Software Groupのチーフサイエンティストである。Jonas氏は不可逆暗号ハッシュを用いたデータの相関性といったプロジェクトに取り組んでいる。
 
 Jonas氏は、2050年までには14歳の少年が自室で仕事をして1日に100億ドルを稼げるようになっていると予測する。Facebookの Mark Zuckerberg氏でも10億ドル相当を稼ぐのに3年かかっている。Jonas氏は、より自分の研究分野に関連づけて「集合的知性がクラウドに存在するようになり、誰もがそれを利用できるようになる」と述べた。

 Jonas氏は集合的知性を、至る所に存在し、相互に縫い合わされ、意味のある文脈内に置かれたセンサから集められた多数のデータの山と表現した。2050年には集合的知性はあなたの個人的なデジタルエージェントになり、あなたの必要なものがどこにあるかを探して教えてくれるようになるだろうと Jonas氏は述べた。

 Jonas氏はこの高度な集合的知性について以下のような例を挙げた。ある個人の現在の状況に関するデータの山が存在する。また、鳥の現在の移動の状態と天候に関するデータの山も存在する。この3つのデータの山は相互に関連づけられ、その結果、その個人は落下する鳥の排せつ物に当たらないように「正しい方向に移動する」ように教えられる。

 「集合的知性は、あなた自身やあなたの医師の役に立つときにはすばらしいと思うが、警察があなたを監視しているときにはいやな存在だと思うだろう」(Jonas氏)

 Jonas氏はまた、2050年には人々はより多くの時間をバーチャル世界で過ごすようになるだろうと予測する。「それはアバターに同化することによって、現実世界のわずらわしさから逃れるための方法である」(Jonas氏)

 この十分な情報に基づいた未来の予測は南カリフォルニア大学の映画芸術学部で実施された。このイベントには映画学科の学生、プロデューサー兼監督のJay Roach氏(Roach氏の作品には「オースティン・パワーズ」シリーズや「ミート・ザ・ペアレンツ2」がある)などの卒業生も出席した。

 教職員のRichard Weinberg氏は、IBMの研究者と協力することによって、映画における未来の描写がより正確になると期待している。実際にはSF作家や映画制作者の方が未来を予測するという点では科学者よりもはるかに優れている。彼らの思考は知識に束縛されず、むしろより純粋な想像に基づいているのだ。


 

space
HOMENews BlogsTechnology | September 29, 2008 |  twitter Livedoor Buzzurl はてな Yahoo!ブックマーク人が登録
space


space Entries of this Category
space

  Next >> 巨石遺跡ストーンヘンジは病人の巡礼地だった可能性 >> 

4500年前、英国イングランドで造られた巨石遺跡ストーンヘンジ。周辺での調査により、その真実に迫る重要な手がかりが見つかっている。英国にある遺跡ストーンヘンジについて、英ボーン...»この話題を見る…


  Previous << 指1本でPCを操作 HP TouchSmart PC IQ700をCMで見て!感動! << 

CMで画面をなぞると画像がびゅ〜んとスクロールするシーンをみて、PCも iPhone の影響うけたんだなって思ってましたが、デジタルデバイドの解消では無いでしょうが、PCの操作... »この話題を見る…


space
space
Welcome to knowledgeBase  Blogs  ▲TOP