国本京佑この名前が、日本のモータースポーツ界の新星となった！11月16日決勝の“Ｆ３世界一決定戦”マカオＧＰで、日本人２人目の優勝という快挙を果たした若干19歳の新星はＦ１昇格、そしてレース界を盛り上げる存在となることを目標に、さらに上を目指す。
マカオＧＰ １９５４年からマカオの市街地コースで行われている伝統のレース。８３年から始まったＦ３レースは、欧州や日本など世界各地で行われているＦ３シリーズのランキング上位者が一堂に会して戦うため“Ｆ３世界一決定戦”と呼ばれる。過去にはアイルトン・セナ（ブラジル）やミヒャエル・シューマッハー（ドイツ）も制しており、２００１年には英国Ｆ３王者として出場した佐藤琢磨が日本人として初優勝。全日本Ｆ３勢は国本を含めて５勝を挙げている。
１９５４年からマカオの市街地コースで行われている伝統のレース。８３年から始まったＦ３レースは、欧州や日本など世界各地で行われているＦ３シリーズのランキング上位者が一堂に会して戦うため“Ｆ３世界一決定戦”と呼ばれる。過去にはアイルトン・セナ（ブラジル）やミヒャエル・シューマッハー（ドイツ）も制しており、２００１年には英国Ｆ３王者として出場した佐藤琢磨が日本人として初優勝。全日本Ｆ３勢は国本を含めて５勝を挙げている。
マカオでの優勝直後、「出来過ぎ。あまり実感がない」と話した国本。実は初挑戦のマカオには周到な準備の下、自信を持って臨んでいた。
事前に過去のレース映像を徹底的に研究した。少しのミスがクラッシュにつながるマカオの市街地コースでは、マシンからはガードレールが迫ってくるように見えるが、「恐怖感を克服するためにも、何度もオンボード（車載）カメラの映像を見て」備えた。
現地入り後も、「予選２回目の途中までは練習に充てる」という計画通り、コースに慣れることから着実にプログラムをこなした。下位に沈んでも、「不安はあったが、大事なのは決勝」と割り切って慣熟に努め、予選２回目終盤に満を持して３番手にジャンプアップ。翌１５日の予選レースでは２位につけた。
「ドライバーはタイムを出して安心できるもの。いきたいという気持ちを抑えて走った精神面が最大の勝因」とは、所属するチーム・トムスの関谷正徳監督だ。
決勝では、クラッシュによるセーフティーカー（ＳＣ）先導が解除された際の再スタートでトップに立つ鮮やかな走り。「ＳＣが多いことも研究済み。不安なく、楽しんで走れました」と話す国本を、関谷監督は「マカオの４日間で大きく成長した」と絶賛した。 Ｆ１目指し基礎作り
父、好広さんの影響を受け、小３でカートに乗り始めた。小４で始めたスキーは神奈川県で同年代のトップレベルになったが、「雪国の子には勝てない」と、中１からはカートに専念。１５歳で全日本カート選手権の王座を獲得し、翌２００５年にはフォーミュラ・トヨタ・レーシングスクールの奨学生に選ばれた。
０６年に参戦開始した入門シリーズのフォーミュラ・チャレンジ・ジャパン（ＦＣＪ）では昨年、王座を獲得。今季は全日本Ｆ３に昇格、３勝してランク２位となった。
今季はスーパーＧＴにも参戦し、５月の第３戦で史上最年少優勝を達成。今季のＦＣＪ王者となった２歳下の弟、雄資とともに、関係者の期待は大きい。高校時代には将来のＦ１参戦を見据えて１年間、カナダに留学して英語を磨くなど、自身の将来像へ向けて着々と礎を築いてもいる。 マカオGP優勝の快挙で！来季は？
「今季は１年目のＦ３で経験を積んでいる最中だった。それがマカオで１つ上に上がった」と関谷監督。来季は全日本Ｆ３で２年目のシーズンを過ごす予定だったが、この快挙で「Ｆ３は卒業かな、とも感じる」とは、支援するトヨタの林博美主査だ。ただ、当人が希望する欧州Ｆ３などはトップチームの来季体制が固まっており、いい体制を用意するには時期的に遅い。経済恐慌で予算的にも厳しいという。
慶大環境情報学部に籍を置く国本は、自らを取り巻く状況を理解したうえで話す。「ゴルフの石川遼みたいにレース界を盛り上げられれば…。そのために、まずはレースを楽しんで、きちんと結果を出したいですね」
