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January 6, 2007 space
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「x.v.Color」とは!拡張色空間「xvYCC」の業界の統一呼称

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「x.v.Color」は、拡張色空間「xvYCC」動画用広色域色空間の国際規格にに準拠した製品の名称となる。いち早くソニーの「BRAVIA」X2500シリーズが民生機として初めてサポートした。現在のNTSCを超える色域は、映像に新しいリアリティをくわえてくれるものだ。しかし、対応機器が登場しても、まだ一般ユーザーがxvYCCの恩恵を受けることはできない。昨年6月、xvYCCに対応した「HDMI ver.1.3」が正式発行したことを受けて実施したもの。その内容から、xvYCCが普及するための条件が見えてきた。
 

xvcolorlogo.jpg

 

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 xvYCCは、2005年10月にIEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)で承認された色空間の国際標準規格。正式名称は「IEC61966-2-4」といい、自然界に存在し、人間の目が認識できるほとんどの“物体色”をカバーできる色空間を定義している。物体色の種類を示すマンセル色票(A・H・マンセルが考案したマンセルブックに示されている色票の数値目盛)に対しても「ほぼ100%」の表現が可能。
 
 
 一方、現在テレビなどで一般的に使われているsRGBは、ブラウン管の特性をもとに決められたもので、NTSCと比較しても72%程度の色域しかカバーしていない。マンセル色票に対して表現できる色は約55%に過ぎず、主に“高い彩度を持つ物体色”の表現が苦手だ――たとえば花びら一枚一枚の微妙な彩度の違い、エメラルドグリーンの海の波ごとの違い、波しぶきのディティール感といった映像のリアリティを左右する部分が表現できないという。
 
 
 実際、動画を撮影するカムコーダーには、既にsRGB色域を超える信号を撮影する能力があり、また液晶やPDPなど、ブラウン管以外の技術を用いて色再現域(色域)を拡張させた、さまざまな表示装置が市場に出てきている。しかし、現状ではテレビの色域がsRGBで制限されているため、カメラ側もsRGBの色域外になる色は「単純にクリップ(色域内の近い色に割り当てる)してしまうことを前提の画質設計になっている」。
 
 
 「従来のテレビシステムでは、本来なら明度や彩度の違いがあった部分が“ベタって”しまい、色鮮やかな物体の素材感や立体感が損なわれている。また、フィルム撮影の映画素材が持つ色の一部が再現できないこともあった」。
 
 
 「静止画の世界では、既にsRGBを拡張したsYCC色空間がExif 2.2に採用され、ユーザーは意識することなく楽しんでいる。一方、動画信号においても、高彩度色の保存が可能な未定義の領域が存在している。
 
 
 それを有効利用することで、広色域データのやり取りが可能になる」とxvYCCの意義を説明する。技術的には、カラースペースを構成する「RGB原色点・白色点」「RGB-YCC変換行列」「量子化」といった要素は従来のままで、「光電変換階調特性」のみを拡張する(ITU-R BT.709で定義された階調カーブを従来の範囲外まで拡張)仕様。平たくいうと「使っていない部分を定義しただけ」で、色域が格段に広がるのがxvYCCの良い。
 
 
 もっとも、xvYCCというカラースペースが規定されても、それだけではユーザーはメリットを享受できない。たとえばパッケージメディアなら、コンテンツ側の対応はもちろん、再生機器(プレーヤー)や表示機器(テレビなど)、そして接続インタフェースの対応まで、エンドツーエンドの対応が求められる。
 
 
 最初に“動画フォーマット”と“インタフェース”の規格にxvYCCを取り込むことだったという。昨年1月17日に「IEC61966-2-4」(xvYCC)国際規格が、また半年後の6月22日には「HDMI 1.3」が発行されているが、これに先立つ2005年1月にはMPEGの会合でMPEG-2/-4/-4 AVCでxvYCCを含む拡張色空間を参照することが決定され、既に規格文書化がスタートしている。
 
 
 MPEGでxvYCCを“参照する”とは、動画信号に含まれるメタデータとして“xvYCC対応”を記述できるという意味だ。そのコンテンツが拡張色空間に対応したものであることを再生機器や表示デバイスに伝え、もし機器側もxvYCCをサポートしていれば、広色域のまま再生してくれる。
 
 
 MPEGでは、昨年10月に仕様としてフィックスしたことを示すFDISを発行する予定。さらに2007年前半をメドに規格書(IS)も出版される見込みだ。またITU_T H.264に関しても、既に最終投票が行われ、年内をメドに規格書発行を目指す段階になっている。
 
 
 トントン拍子で規格化が進んでいるように見えるが、xvYCCはもともと「使っていない部分を定義しただけ」のため、動画データの容量を増やすことはない。従って現在の放送でも対応できるうえ、さらにsRGB色域内ではまったく同じ定義となり、従来の映像機器などに対する互換性も問題なし。このあたりの事情がMPEG内の規格化が早く進んでいる背景にある。
 
 
 先陣を切ってxvYCC対応を果たした新「BRAVIA」のX2500シリーズでは、xvYCCの色域をすべてカバーしてはいないものの、新しいライブカラークリエーションなどによってNTSC以上に色域を広げた。そして、拡大した色域の中では、xvYCCが可能にした“本来の色”を割り当てることが可能だ(別記事参照)。今後は、LEDバックライトやレーザー光源といった新機能や新デバイスによる色域拡大を睨みつつ、機器の対応が進んでいくものと予想される。
 
 
 では、残された大きな課題は何かといえば、“コンテンツの作成環境”だという。撮影するカメラがsRGBを超える能力を持つことは既に触れたが(現在は業務用カムコーダーを改造してxvYCC対応の映像を撮影できる)、撮影した映像を加工するオーサリングツールが存在しない。編集した結果を確認する手段がないのでは、製作者も対応できない。
 
 
 最近は、Blu-rayやHD DVDといったハイビジョンパッケージが注目を集めているが、両氏によると「拡張色空間で表現された映像の世界を体験すると、従来色域(sRGB)の映像には戻れない」という。画質に及ぼすインパクトとしては、ハイビジョン化に劣らない可能性も高いxvYCCだけに、環境の整備が待たれるところだ。
 

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HOMENews BlogsAV機器 | January 6, 2007 |  twitter Livedoor Buzzurl はてな Yahoo!ブックマーク人が登録
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