ヤフーの経営は「ピーナツバター」？？

　
　グーグルなど他社との競争が激化する中、ヤフーがネットで最も人気のあるサイトとしての地位を死守し、売り上げを伸ばそうと模索している時期だけに、このマニフェストは同社経営陣の注目を引いている。電子メールやニュースの配信、そのほかさまざまなサービスを提供するヤフーは、現在、ライバルとの競争激化から、トップの座を維持するのに苦心している。
　
　
　あるアナリストは、ヤフーは2007年に利用者数でグーグルに追い抜かれると予想。
　
　マイクロソフトはネットビジネスを強化。米メディア大手タイム・ワーナー傘下のAOLはアクセスの無料化・無制限化で最近、利用者を大幅に拡大している。ニューズ・コーポレーションのソーシャルネットワーキングサイト「マイスペース」などのサイトも、急速に利用者数を増やし、広告主の注目を集めている。
　
　
　「ピーナツバター・マニフェスト」を書いたのはブラッド・ガーリングハウス上級副社長。ガーリングハウス上級副社長は10月、このメモを同社の幹部にあてて書いた。メモでガーリングハウス氏が訴えたのは、「（ヤフーには）変革が必要で、それもすぐに必要だ」ということ。
　
　
　ガーリングハウス氏は、ヤフーは経営資源をパンの上のピーナツバターのように薄く、あらゆる事業に分散していると指摘。「このため、われわれは何にも注力していない」としたうえで、「不要な事業は捨て、注力する分野を選び、それらにより多くの投資を行う必要がある」と訴えた。
　
　
　メモの中では、売却あるいは中止すべき具体的な事業には言及していない。一部のアナリストは、オンラインのデートサイト（出会い系サイト）と、ウェブ・ホスティングなど小規模ビジネス向けサービスがこの候補になるのではないかと予想している。
　
　
　「ピーナツバター・マニフェスト」がヤフー幹部の共感を得ている兆しはある。
　
　事情に詳しい筋によると、ダン・ローゼンスウェイグ最高執行責任者(COO)は、ガーリングハウス氏に、メモで提起された問題を２カ月間調査する社内チームを率いるよう要請したという。
　
　
　ヤフーの広報担当者は、「相当な強みをよりよく発揮できるために」テリー・セメル最高経営責任者(CEO)が最近言及した主要分野について、同社が焦点を合わせているところだとするコメントを発表した。
　
　
　また、事情に詳しい筋によると、セメルCEO（64）の退任に向けた準備として、ローゼンスウェイグCOOとスーザン・デッカー最高財務責任者(CFO)が共同社長に昇格する、など人事に関するうわさが社内で広まっている。ただ、別の事情筋は、セメルCEOはすぐにヤフーを離れる意志はない、と語っている。人事のうわさについて、広報担当者はコメントを控えた。