日立、KDDI と携帯機器用燃料電池を開発

今回展示する1W級携帯電話機用は、KDDI向けに2005年3月までに製品化を予定している外付け型のモックアップ。携帯電話機の動作時間を延ばすことを目的としている。出力は200mA、5V。高濃度のメタノール水溶液を封入した燃料カートリッジ1本で連続5時間の動作を目指している。燃料電池の寸法は120mm×70mm×15mmで、燃料電池きょう体内に接続コネクタとコードを収納する。

日立製作所がCEATEC JAPAN 2004で展示するKDDI向け1W級携帯電話機用外付け燃料電池のモックアップ（右）。燃料カートリッジを取り出したところ

KDDIの要求仕様は、カートリッジ1本で連続動作10時間であるが「燃料電池のきょう体を小さくすることを優先した結果、連続動作時間を5時間とした」（日立製作所 研究開発本部 燃料電池事業推進室 室長 森原 淳氏）と日立は説明している。なお、携帯電話機用燃料電池に関しては、今後2006年3月までに携帯電話機に内蔵するタイプをKDDIと共同で製品化する計画。

ノート・パソコン用に関しては、国際標準の策定状況に合わせ2007年までに、特定の機種に依存しない外付け型を製品化する予定。今回展示する10W級ノート・パソコン用は、そのコンセプトに基づいて開発した、実際に動作する試作機。ノート・パソコンの液晶ディスプレイ裏側に取り付け、燃料電池からはACアダプターの出力と互換があるコネクタを使いノート・パソコン本体に電力を供給する仕組み。

出力をノート・パソコンの規格に合わせて調節したり、負荷変動に合わせて安定にするための電圧・電流制御回路を燃料電池に内蔵しているのが特徴。パッシブ型であるため、出力安定のために燃料の供給を調整するのではなく、電子回路で制御する。「日立製だけでなく、他社製ノート・パソコンへの適用も可能」（森原氏）としており、引き合い状況によっては2007年より前に製品化する可能性も否定できない。

燃料電池内蔵型の課題
　現在のところ、ドコモはクレードル型、KDDIは充電器型での展示だが、将来の形状はどうなるのか。「オールイン型を目指している」（ドコモ）、「2005年には内蔵型の試作評価機を作る」（KDDI）と、両者とも最終的には携帯電話に内蔵することを目指している。

　問題は、燃料電池はあまり出力が安定せず、最大出力が小さいところにある。「携帯は通常は1Wあればいいが、ゲームなどをすると2〜3Wに増える。パワーに余裕がないと微妙」だとドコモ。

　ドコモの場合、現状、燃料電池セル6つを直列につなぎ3.6V（DC-DCコンバータで5.4Vに昇圧）、700mAを出力する。Wに換算すると3W少々となる。携帯の最大負荷時には少々足りない。そのため、間にキャパシタやリチウムイオン電池などを挟む必要があるという。

NTTドコモ FOMA P901i シリーズから充電器の仕様を”やっと”統一
ドコモはこの冬に発売する予定の901iシリーズから、充電仕様を共通化。5.4V、700mAの入力に統一する。FOMAメーカー全社で同じ充電器が使えるようになるほか、燃料電池も全端末メーカーの端末に接続できるようにする。
　
　
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