イーベイ、ネット電話ソフトのスカイプを買収か・・・

　
　スカイプは加入者同士が無料で通話できるネット電話ソフトの草分け。世界200カ国以上で使われ、5200万人が利用登録している。買収額は20億―30億ドルとみている。
　
　
　　しかしeBayが買収に名乗りを上げたことからは、同社の成長見通しと戦略に関して多くのことが分かる。eBayはオンラインオークション分野では今なお優勢だが、その中核事業は成熟しつつあり、新しい製品カテゴリーと国際市場を模索しているところだ。同社はこの1年半、堅実な買収と投資を行い、不動産賃貸、オンライン三行広告、比較ショッピングなどの市場に参入している。

　
　インターネット電話はネットの集客手段として注目を集めており、先週もマイクロソフトがスカイプと似た技術を持つベンチャー企業を買収したばかり。ネット大手のヤフー、グーグルも相次いでネット電話サービスに本格的に乗り出している。
　
　
　　Yahoo!、Googleなどほかの大手オンライン企業が領土を広げてきたのに対し、eBayは個々の購入者と売り手の仲介役を務めるというビジネスに専念してきた。しかし今回の件に詳しい筋は、eBayは2002年に電子決済サービスのPayPalを買収したときのように、顧客のオンラインでの商品売買をより容易にするサービスを加えることに熱心になっていると語る。
　
　
　eBayはまた、通話ごとに課金するインターネット電話など、今の構造では不可能な方法で収益を得る可能性を開く新事業に参入することに関心を持っていると、この情報筋は話す。同社は以前から、インターネット商取引におけるシェアを拡大し、それを可能にする新分野を模索すると述べてきた。SkypeはeBayに、いわゆる「ネットワーク効果」の恩恵を受けられる電子商取引ビジネスを提供すると事情筋は語る。ネットワーク効果とは、潜在顧客にとってある商品やサービスがどれだけ価値を持つかを、その商品やサービスを既に使っている顧客の数によって決めるというもの。
　
　
　1億5700万人というeBayの莫大な技術通のユーザー基盤は、Skypeソフトの導入に積極的だと判明するかもしれない。これら顧客――ニッチなコミュニティーに分かれることが多い――は、Skypeソフトを同好の士とのコミュニケーションに使うだろう。Skypeソフトのこれまでのダウンロード件数は1億6200件に上り、ユーザー数は全世界で5200万人に上る。
　
　
　　大きな問題となるのは、Skypeの価値の測り方だ。News Corp.、Microsoft、Yahoo!との交渉の中で、30億ドルという価格が浮上してきた。SkypeはIPO（新規株式公開）を検討しており、それに向けてMorgan Stanleyを雇っている。しかし、同社の買収を考えているほかの企業は、「Skypeのようなソフトは自前で開発できるかもしれない」「向こう何年、あるいは何カ月かのうちに同様の技術が登場してSkypeの独自性が消えるかもしれない」などの理由から、このような高い価格に二の足を踏んでいる。
　
　
　2年前に2人の若いスウェーデン人により設立されたSkypeは、通信の将来の形、そして既存事業の秩序に対する脅威と見なされてきた。Skypeユーザーはブロードバンドインターネット回線さえあれば、世界中のどのSkypeユーザーにでも電話をかけられるからだ。また従来の電話よりもずっと安い料金で、Skypeから固定電話や携帯電話に電話をかけることもできる。
　
SkypeOut機能を使用するとSkype から普通の電話にかけることができます。
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