ギアナ高地 20億年の記憶テーブルマウンテン エンジェルフォール

　
　　20億年の記憶を残す世界、ギアナ高地
　
　古生代の古い火成岩が連なるギアナ高地は、まさに“緑の魔境”というべき密林地帯の中にあります。
　
　この土地は、およそ20億年前のもので、地球上で最も古い岩石でできています。かつて、南アメリカ大陸とアフリカ大陸は一つになっていましたが、この大陸が分かれ始めたのが今から2億5000万年前。そして、それぞれが、今の位置に定まったのが6,500万年前。ですから20億年というのは気の遠くなるような歳月です。そして、この歳月を経て、地球最古の岩の軟らかい部分は風と雨に洗い流され、硬い岩だけがテーブル状に残りました。この特異で人を寄せつけない形状故に、古くから神秘的な土地とされ、オリノコ川流域に住むインディオたちは、この高地を、名前（グアイ）の無い（イアナ）場所、つまり名前のつけようがない所として、グアイ・イアナ（ギアナ）と呼ぶようになりました。
　
　
　テーブルマウンテンはその名の通りテーブル状の形をしていて、断崖絶壁の上には平らな台地が広がっている。この壁のために、下界との動植物の行き来が絶たれ、さらには人間の手に及ばない場所として、太古の地球の記憶がそのまま残っているとされている。調査によれば、その地質は２０億年前のものだという。特に植物は独自の進化を遂げたものが多く、世界一の落差979ｍを一気に落ちるエンジェルの滝は秘境ギアナ高地にある。テプイと呼ばれるテーブルマウンテンが100以上もあり、そこに見られる食虫植物などの植物は75％がその地だけの固有種と言われている。

　この地上から”閉ざされた”世界であるがゆえに、いまなおテーブルマウンテンの上では恐竜が生き残っているのではないかという疑問をテーマに、コナン・ドイルの有名な小説「ザ・ロスト・ワールド（失われた世界）」が生まれた。残念ながら恐竜が発見されていないのは周知の事実だが、いまだ完全な測量、調査は終わっていないという。まだ発見されていない生物も、ひょっとしたらどこかに潜んでいるのかも知れない。
　
　
　テーブルマウンテンの誕生は、約２億５千年前のゴンドワナ大陸の分裂に始まる。ゴンドワナ大陸とは、現在の大陸がかつては１つだったという有力な説だが、その分裂の際、ギアナ高地は中心軸に位置していたといわれている。そのため気候の変化がほとんどなく、太古の姿をとどめておくことができた。さらにはそのときに地殻が隆起し、長年の風雨の浸食によりテーブル状になったとされている。
　
　
　このテーブルマウンテンの中でも最大級のものがアウヤンテプイ（現地の言葉で「悪魔の住む場所」）である。そこから流れ落ちる、落差974mを誇る世界最長の滝「エンジェル・フォール」は日本でも知る人が多いであろう。あまりの高さゆえに、滝の途中から水が霧と化し、滝壷が存在しない。
　
　
　ギアナ高地は1994年に世界遺産に登録され、日本でも数年前にテレビで紹介されたのをきっかけに、広く名が知られるようになった。20世紀最後の秘境とも呼ばれ、なかなか人を寄せ付けない場所ではあるが、太古の地球の記憶を宿す世界として、興味を持つ人も多いのではなかろうか。

１９６４年、南米・ギアナ高地のサリサリニャーマというテーブルマウンテンの山頂に、巨大な穴が発見された。

高さ３５０メートルもの断崖を降りないとたどりつけない穴の底は何千万年もの長い間、麓からも山頂からも隔絶されてきたという。
　
■ ギアナ高地巨大穴の謎に迫るNHKスペシャル
　
１９７４年、行われた調査はわずか５日間、人跡未踏の“秘境の中の秘境”だ。
「あそこには知られていない新種の植物がたくさんあるはずだ。何らかの動物が絶対にいるはずだ。巨大な穴がどのようにして誕生したのかという最大の謎も探ってみたい」と語るＣ・ブリュワー＝カリアス氏の協力を得、巨大穴探検隊のＮＨＫ側スタッフ３人は出発した。
　
　年間を通じて殆ど霧に覆われているために、未だ正確に航空測量が行われてい ない南米・ベネズエラのギアナ高地。そこには、100ヶ所以上のテーブルマウ ンテン（卓上台地）があるといわれている。このテーブルマウンテンは地球最古 の岩盤の硬い部分だけが残り、台地状に突出したものである。
　
　
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